血液検査の意義④「今と過去のデータを手がかりに」

分子栄養学では、医師が血液検査データを手がかりに、栄養状態に関連する項目の傾向を確認しながら、個人ごとに異なる特性に配慮した栄養アプローチを検討しています。
なぜ血液検査なのか、その理由を4回シリーズでお届けしています。
今回は、その最終回(第4回)です。
個体差を大切にした分子栄養学では、この個体差の違いによる一人ひとりの個人の基準値を「平常値」と呼び、自分の健康管理をする上でとても大切な基準であると考えています。(※血液検査の意義③)
今回は、
・どのようにして平常値を見つけることができるか
・平常値を見つける意味
について一緒に見ていきましょう。
自分の平常値を知る
まず、どのように自分の平常値というものを見つけることができるかについて考えます。
その答えは「経時的変化を手がかりとすること」です。 “経時的”とは、「経過する時間順」の意味です。
毎年続けて血液検査をすることで、毎年の自分の血液検査結果が出ます。
そしてそれを経過する時間順(経時的)に比べていくことで、その中の変化を数値としてみることができます。そしてそれを続けていくうちに、自分の平常値というものが見えてきます。

人間ドックなどでは、血液検査結果をA~Eなどの段階で評価することがあります。少しずつ違う検査結果の数値でも、そのAという範囲の中に入ってしまうと同じ評価になってしまいます。
しかし、同じAの中でも、検査数値が少しずつ変化することがあり、そのような毎年の小さな変化が、健康維持増進にとって重要な場合があります。
そのため自分の平常値を知っておくことで、トラブルを未然に防ぎ健康を維持する手立てとしていきます。

もともと一部の血液検査項目には「少し前の情報(過去)」を示すものがあり、60項目を超える血液検査では、採血したまさにその「今」の状態と、一部の過去の情報をみることができます。
そしてそれらを医師が経時的にみていくことによって、今と過去のデータから未来を予測し、健康維持増進につなげていくことを提唱しています。
健康な時の自分の平常値をつかんでおくことが理想
人生100年時代の健康を考える際、病気を予防し、将来の健康を守りながらご自身の人生を楽しんで生き生きと生き切ることがとても重要です。
分子栄養学では、医師が血液検査データを手がかりに、栄養状態に関連する項目の傾向を確認しながら、個人ごとに異なる特性に配慮した栄養アプローチを検討しています。
毎年続ける血液検査。その検査結果を経時的に医師とともに管理することによって、健康な時の自分のおおよその平常値をしっかりとつかんでおくことが理想です。

健康維持増進のために
血液検査はとても正直です。現在の自分の栄養状態を如実に表す、いわば健康指標の宝です。
健康維持のため、1年に1回は継続的に血液検査をすることをお勧めしています。
それは、医師の助言により自分の健康管理をしていく上でどのような健康管理をすればいいかという、たくさんの手がかりがつかめるからです。
これは日本独自の分子栄養学の試みであり、日々の体調管理に関心をもつ方にとって、新たな選択肢のひとつとして提案されています。

自分に合った栄養素を吸収できる状態かどうか、
・胃や腸といった栄養素の消化・吸収を司る消化管の状態
を常に健康に保つことも重要です。分子栄養学実践医師と相談しながら、自分の最適な健康管理につなげていきましょう。
