分子栄養学の食事「マグネシウムを多く含む食品」


マグネシウムを多く含む食品には、どんなものがあるでしょう。
毎日の食事で摂る必要のある重要な主要ミネラル(多量ミネラル)、マグネシウム(Mg)[ magnesium ] 。
今回は、マグネシウムを多く含む代表的な食品
【大豆製品・ナッツ類、魚介類、肉類、海藻類・きのこ類、野菜類、いも類・果物類、嗜好飲料類、卵類・乳類】
・大人が食べる1食分の食品
にどのくらいのマグネシウムが含まれているかを、カルシウム含有量と一緒に見ていきましょう。
カルシウムとマグネシウムは、複雑な相互作用が昔から知られている栄養素です※1。カルシウムとマグネシウムの摂取量は、おおよそ【2:1】の割合での摂取が「日本人の食事摂取基準(2025年版)」により設定されています※2。
以下の表を比べてみると、マグネシウムが多いといわれる食品は、実はカルシウムの方が多いものもあることがわかります。
自分の目的に応じた、分子栄養学的なバランスの良いミネラル補給にお役立てください。
大豆製品・ナッツ類のマグネシウム含有量※3

食品 | 1食分(g) | マグネシウム(mg) | カルシウム(mg) |
---|---|---|---|
絹ごし豆腐(凝固剤:塩化マグネシウム) | 1人前(100g) | 76 | 40 |
木綿豆腐(凝固剤:塩化マグネシウム) | 1人前(100g) | 63 | 30 |
糸引き納豆 | 1パック(40g) | 40 | 36 |
カシューナッツ(乾燥) | 10粒(15g) | 36 | 6 |
アーモンド(乾燥) | 10粒(10g) | 29 | 25 |
日本栗(ゆで) | 小5個(可食部 60g) | 27 | 14 |
くるみ(煎り) | 5粒(15g) | 23 | 13 |
落花生(ピーナッツ、皮つき、乾燥) | 10粒(可食部 10g) | 17 | 5 |
アマニ粒(煎り) | 大さじ1(6g) | 25 | 13 |
かぼちゃの種(煎り) | 10粒(5g) | 27 | 2 |
ごま(煎り) | 小さじ1(6g) | 22 | 72 |
えごま粒(乾燥) | 大さじ1(5g) | 12 | 20 |
ピスタチオ(煎り) | 10粒(可食部 5.5g) | 7 | 7 |
魚介類のマグネシウム含有量※3
食品 | 1食分(g) | マグネシウム(mg) | カルシウム(mg) |
---|---|---|---|
たらばがに(ゆで) | 足大2本(可食部 90g) | 46 | 43 |
牡蠣(養殖、生) | 小3個(48g) | 31 | 40 |
いわし(生) | 中2匹分(可食部 100g) | 30 | 74 |
さば(マサバ、生) | 切り身大(可食部 100g) | 30 | 6 |
アトランティックサーモン(養殖、皮なし、生) | 刺身7切れ(105g) | 29 | 5 |
イカ(剣先イカ、生) | 刺身1人前(60g) | 28 | 7 |
さんま(皮なし、生) | 中1匹(可食部 100g) | 25 | 15 |
まあじ(皮なし、生) | 中1尾分(可食部 80g) | 25 | 10 |
秋鮭(白鮭、天然、生) | 切り身大(可食部 80g) | 22 | 11 |
ほたてがい(刺身用、貝柱、生) | 中2個(40g) | 16 | 3 |
バナメイえび(生) | 2尾(40g) | 15 | 27 |
あさり(缶詰、身、水煮) | 1/4 缶(21g) | 10 | 23 |
うなぎ(かば焼き) | 中 1/2 尾(80g) | 12 | 120 |
肉類のマグネシウム含有量※3

食品 | 1食分(g) | マグネシウム(mg) | カルシウム(mg) |
---|---|---|---|
鶏むね肉(皮つき、生) | 中 1/2 枚(100g) | 27 | 4 |
牛ヒレ(赤肉、生) | ステーキ(小)1枚(120g) | 26 | 4 |
豚ロース(赤肉、生) | ステーキ1枚(100g) | 26 | 4 |
鶏むね肉(皮なし、生) | 中 1/2 枚(100g) | 29 | 4 |
豚もも(赤肉、生) | 薄切り(100g) | 25 | 4 |
牛サーロイン(赤肉、生) | ステーキ(小)1枚(120g) | 22 | 5 |
鶏もも肉(皮つき、生) | 中 1/2 枚(100g) | 21 | 5 |
豚ばら(脂身つき、生) | 薄切り(大)3~4枚(100g) | 14 | 3 |
海藻類・きのこ類のマグネシウム含有量※3
食品 | 1食分(g) | マグネシウム(mg) | カルシウム(mg) |
---|---|---|---|
とろろ昆布 | お吸い物1杯分(5g) | 26 | 33 |
乾燥わかめ | みそ汁1杯分(多め、2g) | 9 | 44 |
焼き海苔 | 1/2 枚(1.5g) | 5 | 4 |
もずく(塩抜き) | 1人分(30g) | 4 | 7 |
なめこ(ゆで) | 1/4 袋(25g) | 3 | 1 |
ぶなしめじ(ゆで) | 1/4 袋(25g) | 2 | 1 |
野菜類のマグネシウム含有量※3

食品 | 1食分(g) | マグネシウム(mg) | カルシウム(mg) |
---|---|---|---|
オクラ(ゆで) | 4本(40g) | 20 | 36 |
緑豆もやし(ゆで) | 1/2 袋(100g) | 19 | 24 |
枝豆(ゆで) | 15さや分(可食部 25g) | 18 | 19 |
モロヘイヤ(茎葉、ゆで) | お浸し1皿(60g) | 16 | 102 |
小松菜(ゆで) | お浸し1皿(60g) | 8 | 90 |
ブロッコリー(ゆで) | 小房3つ分(45g) | 8 | 18 |
大豆もやし(ゆで) | 1/2 袋(100g) | 7 | 11 |
にんじん(皮つき、ゆで) | 小 1/3 本(30g) | 4 | 10 |
アスパラガス(ゆで) | 小2本(30g) | 4 | 6 |
赤色ミニトマト(生) | 小3個(30g) | 4 | 4 |
いも類・果実類のマグネシウム含有量※3

食品 | 1食分(g) | マグネシウム(mg) | カルシウム(mg) |
---|---|---|---|
アボカド(生) | 小 1/2 個(50g) | 17 | 4 |
長芋(生) | 1食分(80g) | 14 | 14 |
じゃがいも(皮なし、蒸し) | 小1個(60g) | 14 | 3 |
バナナ(生) | 中 1/3 本(可食部 40g) | 13 | 2 |
すいか(赤肉腫、生) | 1人前( 3×3 ㎝ のブロック3個分:100g) | 11 | 4 |
みかん | 中1個(可食部 80g) | 9 | 17 |
さつまいも(皮つき、蒸し) | 天ぷらサイズ(小)のさつまいも2枚(40g) | 9 | 16 |
キウイフルーツ(緑肉種、生) | 1/2 個(可食部 40g) | 6 | 10 |
いちご(生) | 中3粒(45g) | 6 | 8 |
甘柿(生) | 1/4 個(50g) | 3 | 5 |
ブルーベリー(生) | 大きめ10粒(12g) | 1 | 1 |
嗜好飲料類のマグネシウム含有量※3
食品 | 1食分(g) | マグネシウム(mg) | カルシウム(mg) |
---|---|---|---|
抹茶 | 大さじ1杯(6g) | 14 | 25 |
玉露(浸出液) | 小さな湯飲み茶わん1杯(80㏄) | 12 | 3 |
卵類・乳類のマグネシウム含有量※3
食品 | 1食分(g) | マグネシウム(mg) | カルシウム(mg) |
---|---|---|---|
ヨーグルト(全脂無糖) | 1食分(100g) | 12 | 120 |
鶏卵(全卵、生) | 1個(55g) | 6 | 25 |
カマンベールチーズ | 小1カット(15g) | 3 | 69 |
鶏卵(卵黄、生) | 1個(20g) | 2 | 28 |
マグネシウムは毎日しっかり補給する必要のある主要ミネラル(多量ミネラル)
マグネシウムは毎日摂取する必要のある主要ミネラル(多量ミネラル)です。ミネラルは身体で作れないため、必ず食事として摂る必要のある5大栄養素のひとつです。
(※ミネラルって何?)
マグネシウムは、
・エネルギー(ATP)を作る
・強い骨を作る
・NMDA受容体にフタをすることで、神経細胞の適切な情報伝達を支える※4、※5、※6
・筋肉の生理機能
・健康な心血管系の機能
・数百種類の酵素の補因子としての働き
など、健康な心と身体の基礎をつくる上でとても重要なミネラルです※7。
(※エネルギーをつくるための必須栄養素「マグネシウム、ビタミンB群、CoQ10、鉄」)
(※脳の情報伝達の仕組み:ナトリウム・カリウム・カルシウムの連携で神経伝達物質が働く科学的メカニズム)
カルシウムとマグネシウム:厚生労働省から推奨されている比率はおおよそ【2:1】
マグネシウムとカルシウムは、複雑な相互作用が昔から知られている栄養素です。カルシウムとマグネシウムの摂取量は、おおよそ【2:1】の割合での摂取が「日本人の食事摂取基準(2025年版)」により設定されています。
厚生労働省が推奨している1日の摂取量(推奨量)は、例えば
・15~17歳(男性): マグネシウム360 mg:カルシウム800 mg
・15~17歳(女性): マグネシウム310 mg:カルシウム650 mg
を推奨しています。(下記『マグネシウムの食事摂取基準(mg/日)』の表(「日本人の食事摂取基準(2025年版)」)※2 参照)
今回比べたマグネシウム含有量の表より、マグネシウムが多いといわれる食品は、実はカルシウムの方が多いものもあることがわかります。また目標とするマグネシウム摂取量を食事で摂ろうとしても、1日3食を相当がんばって摂る必要があることがわかります。

日ごろから適切な量のマグネシウム摂取を意識したバランスの良い食生活で、考え、動き、楽しむためのエネルギーをしっかり作り、気力・体力を十分確保していきましょう。
毎日の食事で賢く良い食品を選び、分子栄養学に基づく栄養アプローチをさらに効果的なものにしていきましょう。
※1 Fiorentini, D.,et al. (2021). Magnesium: Biochemistry, Nutrition, Detection, and Social Impact of Diseases Linked to Its Deficiency. Nutrients, 13(4), 1136.
※2 出典:「日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf)(2025年6月20日に利用)
※3 各食品の栄養素含有量は『日本食品標準成分表2020年版(八訂)準拠.食品成分表2022(女子栄養大学出版部)』より、下記のように算出しています。
・マグネシウム(mg):小数第一位を四捨五入
・カルシウム(mg):小数第一位を四捨五入
※4 M・F・ベアーほか(藤井聡 監訳)『カラー版 神経科学-脳の探求-〈改訂版〉』(西村書店、2021)132-133ページ
※5 Vieira, M.,et al. (2020). Regulation of NMDA glutamate receptor functions by the GluN2 subunits. Journal of Neurochemistry, 154(2), 121-143.
※6 Kirklan, AE.,et al. PMC. (2018). The Role of Magnesium in Neurological Disorders. Nutrients, 10(6), 730.
※7 Jomova, K.,et al. (2022). Essential metals in health and disease. Chemico-Biological Interactions, 367, 110173.