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2025.7.7 分子栄養学の食事「マグネシウムを多く含む食品」

食事

分子栄養学の食事「マグネシウムを多く含む食品」

マグネシウムを多く含む食品には、どんなものがあるでしょう。

毎日の食事で摂る必要のある重要な主要ミネラル(多量ミネラル)、マグネシウム(Mg)[ magnesium ] 。

今回は、マグネシウムを多く含む代表的な食品
【大豆製品・ナッツ類、魚介類、肉類、海藻類・きのこ類、野菜類、いも類・果物類、嗜好飲料類、卵類・乳類】

・大人が食べる1食分の食品

にどのくらいのマグネシウムが含まれているかを、カルシウム含有量と一緒に見ていきましょう。

カルシウムとマグネシウムは、複雑な相互作用が昔から知られている栄養素です※1。カルシウムとマグネシウムの摂取量は、おおよそ【2:1】の割合での摂取が「日本人の食事摂取基準(2025年版)」により設定されています※2

以下の表を比べてみると、マグネシウムが多いといわれる食品は、実はカルシウムの方が多いものもあることがわかります。

自分の目的に応じた、分子栄養学的なバランスの良いミネラル補給にお役立てください。


大豆製品・ナッツ類のマグネシウム含有量※3

食品1食分(g)マグネシウム(mg)カルシウム(mg)
絹ごし豆腐(凝固剤:塩化マグネシウム)1人前(100g)7640
木綿豆腐(凝固剤:塩化マグネシウム)1人前(100g)6330
糸引き納豆1パック(40g)4036
カシューナッツ(乾燥)10粒(15g)366
アーモンド(乾燥)10粒(10g)2925
日本栗(ゆで)小5個(可食部 60g)2714
くるみ(煎り)5粒(15g)2313
落花生(ピーナッツ、皮つき、乾燥)10粒(可食部 10g)175
アマニ粒(煎り)大さじ1(6g)2513
かぼちゃの種(煎り)10粒(5g)272
ごま(煎り)小さじ1(6g)2272
えごま粒(乾燥)大さじ1(5g)1220
ピスタチオ(煎り)10粒(可食部 5.5g)77

魚介類のマグネシウム含有量※3

食品1食分(g)マグネシウム(mg)カルシウム(mg)
たらばがに(ゆで)足大2本(可食部 90g)4643
牡蠣(養殖、生)小3個(48g)3140
いわし(生)中2匹分(可食部 100g)3074
さば(マサバ、生)切り身大(可食部 100g)306
アトランティックサーモン(養殖、皮なし、生)刺身7切れ(105g)295
イカ(剣先イカ、生)刺身1人前(60g)287
さんま(皮なし、生)中1匹(可食部 100g)2515
まあじ(皮なし、生)中1尾分(可食部 80g)2510
秋鮭(白鮭、天然、生)切り身大(可食部 80g)2211
ほたてがい(刺身用、貝柱、生)中2個(40g)163
バナメイえび(生)2尾(40g)1527
あさり(缶詰、身、水煮)1/4 缶(21g)1023
うなぎ(かば焼き)中 1/2 尾(80g)12120

肉類のマグネシウム含有量※3

食品1食分(g)マグネシウム(mg)カルシウム(mg)
鶏むね肉(皮つき、生)中 1/2 枚(100g)274
牛ヒレ(赤肉、生)ステーキ(小)1枚(120g)264
豚ロース(赤肉、生)ステーキ1枚(100g)264
鶏むね肉(皮なし、生)中 1/2 枚(100g)294
豚もも(赤肉、生)薄切り(100g)254
牛サーロイン(赤肉、生)ステーキ(小)1枚(120g)225
鶏もも肉(皮つき、生)中 1/2 枚(100g)215
豚ばら(脂身つき、生)薄切り(大)3~4枚(100g)143

海藻類・きのこ類のマグネシウム含有量※3

食品1食分(g)マグネシウム(mg)カルシウム(mg)
とろろ昆布お吸い物1杯分(5g)2633
乾燥わかめみそ汁1杯分(多め、2g)944
焼き海苔1/2 枚(1.5g)54
もずく(塩抜き)1人分(30g)47
なめこ(ゆで)1/4 袋(25g)31
ぶなしめじ(ゆで)1/4 袋(25g)21

野菜類のマグネシウム含有量※3

食品1食分(g)マグネシウム(mg)カルシウム(mg)
オクラ(ゆで)4本(40g)2036
緑豆もやし(ゆで)1/2 袋(100g)1924
枝豆(ゆで)15さや分(可食部 25g)1819
モロヘイヤ(茎葉、ゆで)お浸し1皿(60g)16102
小松菜(ゆで)お浸し1皿(60g)890
ブロッコリー(ゆで)小房3つ分(45g)818
大豆もやし(ゆで)1/2 袋(100g)711
にんじん(皮つき、ゆで)小 1/3 本(30g)410
アスパラガス(ゆで)小2本(30g)46
赤色ミニトマト(生)小3個(30g)44

いも類・果実類のマグネシウム含有量※3

食品1食分(g)マグネシウム(mg)カルシウム(mg)
アボカド(生)小 1/2 個(50g)174
長芋(生)1食分(80g)1414
じゃがいも(皮なし、蒸し)小1個(60g)143
バナナ(生)中 1/3 本(可食部 40g)132
すいか(赤肉腫、生)1人前( 3×3 ㎝ のブロック3個分:100g)114
みかん中1個(可食部 80g)917
さつまいも(皮つき、蒸し)天ぷらサイズ(小)のさつまいも2枚(40g)916
キウイフルーツ(緑肉種、生)1/2 個(可食部 40g)610
いちご(生)中3粒(45g)68
甘柿(生)1/4 個(50g)35
ブルーベリー(生)大きめ10粒(12g)11

嗜好飲料類のマグネシウム含有量※3

食品1食分(g)マグネシウム(mg)カルシウム(mg)
抹茶大さじ1杯(6g)1425
玉露(浸出液)小さな湯飲み茶わん1杯(80㏄)123

卵類・乳類のマグネシウム含有量※3

食品1食分(g)マグネシウム(mg)カルシウム(mg)
ヨーグルト(全脂無糖)1食分(100g)12120
鶏卵(全卵、生)1個(55g)625
カマンベールチーズ小1カット(15g)369
鶏卵(卵黄、生)1個(20g)228

マグネシウムは毎日しっかり補給する必要のある主要ミネラル(多量ミネラル)

マグネシウムは毎日摂取する必要のある主要ミネラル(多量ミネラル)です。ミネラルは身体で作れないため、必ず食事として摂る必要のある5大栄養素のひとつです。
※ミネラルって何?

マグネシウムは、

・エネルギー(ATP)を作る
・強い骨を作る
・NMDA受容体にフタをすることで、神経細胞の適切な情報伝達を支える※4、※5、※6
・筋肉の生理機能
・健康な心血管系の機能
・数百種類の酵素の補因子としての働き

など、健康な心と身体の基礎をつくる上でとても重要なミネラルです※7

※エネルギーをつくるための必須栄養素「マグネシウム、ビタミンB群、CoQ10、鉄」

※脳の情報伝達の仕組み:ナトリウム・カリウム・カルシウムの連携で神経伝達物質が働く科学的メカニズム

カルシウムとマグネシウム:厚生労働省から推奨されている比率はおおよそ【2:1】

マグネシウムとカルシウムは、複雑な相互作用が昔から知られている栄養素です。カルシウムとマグネシウムの摂取量は、おおよそ【2:1】の割合での摂取が「日本人の食事摂取基準(2025年版)」により設定されています。

厚生労働省が推奨している1日の摂取量(推奨量)は、例えば

・15~17歳(男性): マグネシウム360 mg:カルシウム800 mg
・15~17歳(女性): マグネシウム310 mg:カルシウム650 mg

を推奨しています。(下記『マグネシウムの食事摂取基準(mg/日)』の表(「日本人の食事摂取基準(2025年版)」)※2 参照)

今回比べたマグネシウム含有量の表より、マグネシウムが多いといわれる食品は、実はカルシウムの方が多いものもあることがわかります。また目標とするマグネシウム摂取量を食事で摂ろうとしても、1日3食を相当がんばって摂る必要があることがわかります。

日ごろから適切な量のマグネシウム摂取を意識したバランスの良い食生活で、考え、動き、楽しむためのエネルギーをしっかり作り、気力・体力を十分確保していきましょう。

毎日の食事で賢く良い食品を選び、分子栄養学に基づく栄養アプローチをさらに効果的なものにしていきましょう。

※1 Fiorentini, D.,et al. (2021). Magnesium: Biochemistry, Nutrition, Detection, and Social Impact of Diseases Linked to Its Deficiency. Nutrients, 13(4), 1136.

※2 出典:「日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf)(2025年6月20日に利用)

※3 各食品の栄養素含有量は『日本食品標準成分表2020年版(八訂)準拠.食品成分表2022(女子栄養大学出版部)』より、下記のように算出しています。
・マグネシウム(mg):小数第一位を四捨五入
・カルシウム(mg):小数第一位を四捨五入

※4 M・F・ベアーほか(藤井聡 監訳)『カラー版 神経科学-脳の探求-〈改訂版〉』(西村書店、2021)132-133ページ

※5 Vieira, M.,et al. (2020). Regulation of NMDA glutamate receptor functions by the GluN2 subunits. Journal of Neurochemistry, 154(2), 121-143.

※6 Kirklan, AE.,et al. PMC. (2018). The Role of Magnesium in Neurological Disorders. Nutrients, 10(6), 730.

※7 Jomova, K.,et al. (2022).  Essential metals in health and disease. Chemico-Biological Interactions, 367, 110173.

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